AOYAMA Koji's PROGRAMMING BLOG

サンプリング周波数で音の再現度が変わる

2025/02/09

 本記事では、前回話題に出したハイレゾにも関連する、サンプリング周波数についてご紹介します。


音は波


 まずは何かですが、空気の波です。 それが耳に届くと、耳の中の鼓膜が空気の波の振動を感知して、脳が認識する仕組みですね。

波をデジタルデータ化する


 昔からあるレコードは、波の情報をアナログ情報としてほぼそのまま保存して再生しています。 一方で、配信サービスの音楽はデジタルデータ化されています。 つまり元の波、音源の情報を、コンピューターが扱えるデジタルデータに変換する必要があり、 その際に実は情報が欠落しているのです。

数値化すると階段に


 デジタルデータにするには、音の波情報を数値に変換する必要があります。 実際の音には無限の段階がありますが、コンピューターが扱える数値には限界があるので、この図のようにどうしても階段状になります。

サンプリング周波数で再現度が変わる


 具体的には、元の音の情報を一定頻度で読み取って数値化していきます。 この読み取り頻度をサンプリング周波数と言います。 サンプリング周波数が高いほど、音源の再現度が高くなります。

CDのサンプリング周波数は44.1kHz


 例えばCDの音は周波数44.1kHzでサンプリングされたものです。 kHzは、k(キロ)Hz(ヘルツ)と読みます。kは1000倍、Hzは周波数を表す単位で1秒間の回数を表します。 つまりCDには、音を1秒間に44100回読み取ってデジタルデータ化されたものが保存されています。
用語読み方意味
kキロ1000倍
Hzヘルツ周波数(1秒間の回数)

96kHzや192kHzのハイレゾ音源


 今でも44.1kHzは基準の単位となっています。
 それでも今は、より元の音源に近づけるための、前回ご紹介したハイレゾ音源があります。 私の知る限りApple Musicにはサンプリング周波数96kHzの音源があります。 amazon musicは192kHzに対応していると思います。 大きい方が音源の再現度が高いです。

昔は3.9kHzも


 余談ですが、私が1990年頃に親に借金して購入したシャープ社のパソコンX68000には音源再生機能が備わっていました。 対応していたサンプリング周波数は忘れてしまいましたが、 Wikipediaで調べると3.9kHzから15.6kHzだったようです。 当時としては高性能でしたが、今の基準で考えると、なかなか厳しいですね。

どのくらい違うのか比べるツールを作ってみた


 試しにということで、サンプリング周波数でどう違うかを確認できるツールを作ってみました。 サンプリング周波数を変えて視聴してみてください。


ラ音を再生


 デジタルデータ化する元の音源の波の周波数440Hzラ音です。 ここを押すと1秒再生します。 サンプリング周波数が低いと異音がするので音量にご注意ください。


 正直なところ私には15.6kHz以上は差がよくわかりません。 おそらくは、より複雑な音じゃないと違いはわからないのでしょう。
 サンプリング周波数が低い方では異音がしますが、おそらく当時はこうならなかったのでしょう。 今のマシンは性能が上がり、この階段状の音源をよりシャープに再現できているための現象であろうと推測します。 シャープX68000だけに…。 いや、スミマセン。正直よくわかっていません。

すべての基本「ラ音」


 なぜラ音を選んだのか。
 私は音楽は素人ですが、このラ音がすべての音の基準のようです。 周波数440Hz。 オーケストラや吹奏楽で最初に「プー」と鳴らして音を合わせる、あの音です。
 英語ではドレミファソラシドがCDEFGAB、つまりドはCです。 A。 音楽の世界ではラが基準のようです。
 余談ですがプログラミングで音階を指定するときもこの英字を使用します。 少なくとも自分が知っている範囲では。 例えばカエルの歌の出だしは CDEFEDC です。

拡大機能も搭載しています


 細かい話ですが、本記事のツールでは表示上の限界も気をつけなければなりません。 このグラフ画像のピクセル数は縦横それぞれ数百です。 つまりそれより細かい情報は基本的に表現できません。
 192kHzでサンプリングすると滑らかに見えます。 細かすぎてこのピクセルサイズでは表現できていないため、拡大機能を設けました。 倍率を上げると、ハイレゾでも階段の状態が確認できるようになっています。 また横にずらす開始位置の機能も入れました。 適当にいじってもらえれば幸いです。

まとめ


 サンプリング周波数の紹介と、それを視聴できるプログラムを作ってみました。 次回、本記事で紹介したツールのプログラムに関して解説します。

補足

・本記事で紹介した各製品は各社の登録商標または商標と思いますが「®」「™」等の表記はしておりません。
・場合により44.1kHzもハイレゾと呼ばれるようです。
・オーケストラで合わせるラ音は440Hz以外に442Hz等もあるようですが私は詳しくありません。
・「プー」と書きましたが「ポー」の方が近いですか?擬音が違ったらスミマセン!
・本記事で使用しているプログラミング言語は JavaScript です。
カテゴリー:オーディオ推し,アプリケーション
著者プロフィール
青山公士(あおやま こうじ)
中学2年生からゲームプログラミングに明け暮れる。ゲーム開発者としての代表作に「スーパー桃太郎電鉄II」(ハドソン)メインプログラマー、[PR]『ドラゴンクエストX オンライン』(スクウェア・エニックス)テクニカルディレクター/プロデューサーなどがある。[PR]「ドラゴンクエストXを支える技術」(技術評論社)著者。本ブログは今までの経験を活かしプログラミングが楽しいと感じる人が少しでも増えるようなものにしたい。 @kojibm
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