メディアが事実を伝えてもそれが真実とは限らない
2020/05/30

昨年、実写映画「キングダム」を、ドラゴンクエストX初心者大使あーみぃこと阿見201さんが出演されているという理由で映画館に見に行ったのですが、 長澤まさみさんのかっこよさに圧倒されました。全体としてもとてもよかったです。 その後原作を最新刊まで読むくらいの、にわかですがファンになりました。 そして昨日、地上波で見ることができて、改めてかっこいいなと思いました。 続編も決まったようでおめでとうございます!楽しみです。
さて今回は、プログラミングと関係ないのですが、最近の報道を見て少し思うことがありましたのでそれについて書きたいと思います。
若手ゲームプログラマーのインタビュー
もう四半世紀も前の話になりますが、若手ゲームプログラマーとして某テレビ局のインタビューを受けたことがあります。 そこ!当時は私も若手だったのですよ!
そこでは私があるゲームで使用した技術的な工夫について、約2時間、熱心に語りました。 全然インタビュワーさんが理解していなさそうなところは気になっていましたが…。
放送された衝撃の1分間
そして後日、完成した番組の放送を見て衝撃を受けました。 2時間受けたインタビューが1分程度になったのは時間の関係で仕方がないとしても、 その中で紹介されたのが私の給料についてでした。 技術の紹介も一応あったのですが、どのゲームでもやっているような、私の工夫でもなんでも無いどうでも良いものでした。私には。
思い返すと…
そう言えばインタビューを開始した直後から、給料についてちょくちょく聞かれていました。 何度も聞かれていたのですがずっと無視して、技術の話を続けていました。
ただ、、、私も若かったせいで、しつこく聞かれたので1回だけ答えてしまったのです。 給料はいくらだと。 思い返すと、そのすぐあとにインタビューが終了になったと思います。
番組の筋書きありきのインタビュー
つまり極端に言うと、最初から番組の筋書きは大体決まっていて、 そのパーツに必要な映像を収録するためにインタビューをしていたのだと思います。
放送された番組では、技術を熱く熱く語っている自分はおらず、深い技術の紹介も一切なく、 インタビュワーさんがなんとか理解できたであろう範囲で、一般の方にもわかるように解説がされていました。
得られた教訓2つ
これで得られた教訓が2つあります。
メディアは事実を伝えるけれどそれが真実とは限らない
ひとつめは、インタビューの回答を切り取ることで、メディアが意図した映像を作成できるということです。 確かに話したことはすべて事実なのですが、それを切り取ることでまったく違う印象の映像が作られていました。
もちろん悪意で印象操作しているわけではなく、 視聴者が望むものに絞る過程でそうなるだけだと理解しています。 メディアとしても視聴率等を稼ぐ必要があるので必要不可欠なことだとは思います。
つまりニュース報道や、ドキュメンタリー、ノンフィクションやリアルを売りにしている番組も、 その映像等が切り取られたものであれば、それはそのメディアが伝えたい内容になっていると考えるべきです。 出ている情報自体はすべて事実としても、 切り捨てられた中には印象を変える別の事実があるかも知れない、つまり真実は別にあるかも知れないと疑うべきです。
出所不明のネット情報はもちろんですが、大手メディアが発信したものであっても、煽られて右往左往しないように、常に冷静に見極めていきたいものです。
プログラマー語を日本語に

この経験おかげで私は、プログラマーにしか通じない言葉を日本語に翻訳して伝えるよう努力し、プログラマーの中では比較的それができるようになりました。 そしてプログラマーを代表してプログラマー以外に状況を説明をする立場となり、 また一般の方にも読んでいただける技術書を書く機会もいただきました。 今プロデューサーというポジションにいるのも間違いなくこの成果と言えます。
放送された番組内では高度な技術力はまったく見せられませんでしたが、 それを理由に私の技術力が低そうと言われたことはたぶんありませんし、悪影響は無さそうです。 むしろ映っていたプログラムソースがわかりやすすぎたことで「やらせ?」と聞いてきたプログラマーがいましたので、 私が丁寧に説明しているように映っていたのかも知れません。 わかりやすかったのは私ではなく番組制作の方々のおかげですね。 まあ、そのプログラマーにはいっぱい愚痴を言いましたけれど(笑)。
なんかとても悔しいという思いはあるのですが、良い経験をさせていただき、今は当時のインタビューに感謝しております。
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